所員研究室訪問(2025年3月7日):小荒井研究室
(聞き手:池庄司所員・片口所長)
(聞き手)
2024年度から新たに所員となった先生への研究室訪問第一弾として、基礎自然科学野地球環境科学領域の小荒井衛先生の研究室を訪問しました。普段はDEM(Digital Elevation Model、数値標高モデル)やリモートセンシングデータをGIS(地理情報システム)で解析し、地質災害のリスク評価などを行っているとのことで、なぜ五浦美術文化研究所に興味を持ってくださったのか気になりますね。早速、お聞きしていきましよう。
(聞き手)
五浦美術文化研究所所員になった動機やきっかけをお聞かせください。
(小荒井先生)
理学部理学科地球環境科学コースの「大学入門ゼミ」では、図書館での文献の探し方やレポートの書き方という座学に加えてフィールドワークを行っており、フィールドワーク先として五浦に学生を連れて行っています。炭酸塩コンクリーションや人工物である離岸堤がよく見えるので、六角堂のある五浦美術文化研究所も訪問しています。
(聞き手)
そうだったんですね。
(小荒井先生)
実は、五浦の海岸には海岸侵食防止のために炭酸塩コンクリーションに似せた人工礁・人工岩礁・人工崖などが設置されているのですが、これらは日本初の景観配慮型海岸保全の例なんですよ。
(聞き手)
(「ジオサイトマップ五浦海岸」を見ながら)あぁ、この辺ですかねぇ?
(小荒井先生)
そうですねー。ちなみに、これ(ジオサイトマップ)は、私が茨城県北ジオパークに関わっていたことから、地質情報活用プロジェクトの学生たちと茨城県北ジオパークのほかのジオサイトでも作っているんですよ。(何点ものジオサイトマップを広げながら)私は前職の国土地理院で地図作りに関わっていたこともあるんですが、地図と美術って共通点があると思っているんです。どちらもユーザーにどう伝えるか・どう表現するかという点において共通点があると思っています。自分が作っている地図は科学的情報に振りがちなんですけどね。
(聞き手)
地図と美術の共通点!「どう表現するか」で共通するという視点は新鮮です。
(小荒井先生)
ジオサイトの話に戻りますが、残念ながら茨城県県北ジオパークは認定取り消しになってしまいましたが、ジオ的に見ると県北はとても面白いんですよ。五浦の奇岩景観だけでなく、アンモナイトが産出する那珂湊の平磯海岸、日立鉱山や常磐炭鉱のような鉱産資源もあります。ただ、ジオだけだと興味関心を持ってくれる人が少ないので、他のコンテンツと組み合わせることで上手くいくんじゃないかなと思っています。例えば、北茨城市は、常磐炭砿の展示のある北茨城市歴史民俗資料館に童謡の作詞で有名な野口雨情の記念館を併設していたり、高萩市も高萩市歴史民俗資料館を伊能忠敬よりも前の時代に日本全図を作った長久保赤水の記念館を別称としたりしています。
(聞き手)
なるほど。
(聞き手)
五浦美術文化研究所も文・理の壁を越えた連携で、新たな価値を付加していけるといいですね。その第一歩として、基礎自然科学野の小荒井先生に入所していただけたことは大きな意義があると思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年4月1日
茨城大学五浦美術文化研究所